「高気密高断熱。断熱は分かるけど気密って何?」
「気密が高い家ってなんか息苦しそう」
家づくりで気密が注目されるようになったのは、「高気密高断熱」というワードが知られるようになったほんの最近のことで、気密の重要性をちゃんと理解している人はまだ多くはありません。
しかし、気密をおろそかにすると耐震性や断熱性が低下して、家全体の性能低下につながってしまうくらいとても大事なポイントなのです。
私は「絶対に家づくりで失敗したくない」と、1000本以上のYouTube、15冊以上の書籍で家づくりについて猛勉強し、膨大な時間を費やしてきました。
家の性能について知りたい気持ちがあっても、内容が難しかったり勉強する時間がなかったり。。。
このブログではできるだけ難しい表現は使わずに、たくさん写真や図を用いて、家づくり初心者にも分かりやすく解説しています。
この記事では気密とは何か、またその役割について徹底解説していきます。気密の知識は優秀な住宅会社を選ぶのにも使えますので、ぜひ最後までご覧ください!
性能の基礎!初心者が知っておきたい気密の重要性と役割
まず、気密についての基礎知識について説明していきます。
気密とは?その5つの役割
気密とは家の壁や天井、床の隙間の小ささを示し、隙間が小さいほど気密性能が高いということになります。
日本語のイメージから 「隙間がないと息苦しいのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、実際にはその逆で、気密が高い方が換気がスムーズにでき、室内の空気が清潔に保たれます。
気密には下記の5つの重要な役割があります。
- 結露を防ぎ、家の耐久性を維持する
- 断熱性を高める
- 換気効率を良くする
- 湿度を維持する
- 防音性を高める
- (おまけ) 住宅会社の技術力を客観的に評価できる
順に詳しく解説していきますね。
1. 結露を防ぎ、家の耐久性を維持する
この項目が一番重要なポイントです。
気密性能が低いと、室内の湿気が壁の中に出ていって結露が発生し、断熱性能や耐震性能を低下させてしまいます。
前提として、暖かい空気は多くの水分を含むことができ、冷たい空気は少ししか水分を含むことができません。したがって、湿った暖かい空気が冷やされると、含みきれなくなった水分が結露として出てきてしまいます。
冬の室内の空気は暖かく、多くの水分を含んでいます。
その湿った暖かい空気が壁の中に出ていってしまうと、外の寒さで冷やされて結露し、断熱材や柱を濡らしてしまうのです。
窓が結露するのも、部屋の湿った暖かい空気が冷やされるからだね!
断熱材が濡れると断熱性能が落ちてしまいますし、柱が濡れると腐ってボロボロになり耐震性能を下げてしまいます。
対策として「気密シート」というシートをしっかり使い、室内の湿った空気が壁の中に出ていかないようにすることが必要です。
湿った空気が壁の中に出ていかなければ、結露が生じることはなくなります。
2. 断熱性を高める
家の隙間が大きいほど、断熱性は低下します。なぜなら、壁や床、天井の隙間から外の冷たい空気が入ってしまうからです。
暖かい空気は軽いので、部屋の天井の方に溜まっていきます。そして隙間があると、暖かい空気は天井から抜けていき、抜けた分だけ床の隙間から冷たい空気を吸い込んでしまいます(重力換気)。
寒いからと部屋を温めれば温めるほど部屋内の温度差ができ、下からより冷たい空気が入ってきてしまうのです。
隙間をしっかり塞いで気密を上げることで、この重力換気は防ぐことができます。
暖かい空気を逃さずに済むということは、光熱費の削減にもつながるね!
3. 換気効率を高め、空気をきれいにする
気密が低いと換気がうまくできずに部屋の中に汚い空気が溜まってしまいます。
ではそもそも、どうして換気が必要なのでしょう。
昔の日本家屋は自然素材を主に使用していたため、換気扇がなくても問題はありませんでした。
しかし、工業化された製品がたくさん製造されるようになり、家の壁紙や建材の接着剤などに含まれる「ホルムアルデヒド」などの物質が人体にアレルギーを起こすことが明らかとなりました(シックハウス症候群)。
そのため対策として、ホルムアルデヒドが極力含まれない建材を使用するとともに、2003年に24時間換気の設置が義務化されました。
本来、換気扇というのは吸気口と排気口がセットとなり、家の一方からその反対方向へと計画的に換気を行います。
換気扇以外に隙間がなければ、空気が排気口から出た分だけ吸気口から入ってきます。
しかし、隙間が多いと吸気口以外からも空気が入ってきてしまい、汚れた空気が溜まってしまいます。
隙間から空気が入ってきてすぐに近くの排気口から出ていってしまうことを「ショートサーキット現象」といいます。
穴の空いたストローではうまくジュースが飲めないのと同じだね!
「気密が高いと息苦しそう」というのは言葉のイメージの問題で、実際は気密が高い方が空気はきれいなのです。
4. 湿度を維持する
結露のところでも説明しましたが、気密シートにより室内の湿気が外に出にくくなるので、冬は室内が乾燥しづらくなります。
また、夏も隙間から入ってくる湿気がありませんので、同様に室内の湿気を抑えることができます。
湿度のコントロールは温度以上に難しいですので、気密が高いことで快適な室内空間を作りやすくなります。
5. 防音性を高める
音は壁の振動からも伝わりますが、主に隙間から入ってきます。窓を開けていれば外の音が聞こえるのに、閉めると聞こえなくなりますよね。
気密を上げることで家の内外の隙間がなくなり、外の騒音が伝わりにくくなります。
外の車の音や人の話し声などを抑えることができ、家の中で静かに過ごすことができます。
6. (おまけ) 技術力の高い住宅会社を見極められる
後述しますが、高気密な家を作るには職人さんや工事関係者さんの「技術力と丁寧な施工」が必須です。
したがって、高気密を保証している住宅会社は施工の質を担保していると考えることができます。
住宅会社選びの段階で注目するべきポイントと言えるでしょう。
C値とその目標値
C値(相当隙間面積)とは家全体の隙間を床面積で割った値で、C値が小さいほど隙間が小さく性能が良いです。
冷暖房効率を良くするためには、計算上、C値は1.0以下であることが必要と言われています。
しかし、家は建てた直後が最も気密が高く、経年劣化や地震などで気密性能が20〜30%ほど落ちるとされています。
そのため、性能についての有識者団体「HEAT20」のガイドラインでは、建てた直後のC値は0.7前後(0.5〜0.9)を目標とすべきとしています。
現在では、C値0.5以下を目指す住宅会社も増えており、中には0.1を下回るスーパー工務店も存在します。
失敗しない!高気密な住宅会社の選び方
気密を重視している住宅会社を選ぶ方法をご紹介します。
気密測定を行っているかどうか
C値は設計や仕様の段階で決まっているものではなく、実際に一棟一棟建った家で実測することで結果が分かります。
したがって、気密測定をしていなければ、そもそも気密を重視していない会社ということになります。
具体的には家の中の空気を外に吸い出す機械を設置して家の中を陰圧にし、家の内外の圧力差や風量を測定して算出します。
気密測定は「中間時」と「完成時」に行うことが多いです。
中間時であればまだ壁が剥き出しなので、隙間を手直しして気密を改善できるのがメリットです。完成時であれば基本的に測定するだけになります。
中間時と完成時のどちらも行う会社もあれば、どちらか一方のみ行う会社もあります。
大手HMだから気密が高いというわけではないから注意だよ!
気密シートや気密部材を使用しているかどうか
基本的に気密測定をしている会社であれば当たり前の内容になってきますが、家の隙間を埋めるためには、壁の気密シートや配管には気密がとれる部材を使用しているかが重要です。
特に窓やドア周り、配管周りの気密施工がポイントになります。
発泡するタイプの断熱材を使用すれば、隙間を埋めるはたらきもあるので気密を高めやすくなります。
ホームページにC値の記載があるか、保証されているか
住宅会社のホームページで、気密について詳しく説明されているかを確認しましょう。
気密性をしっかりアピールしている会社は、技術力に自信があることが多いです。
「平均C値 〇〇」や「C値 〇〇以下を保証」などと数値を明記している場合は、特に性能を重視している会社である可能性が高いです。
まとめ
高気密のメリットをまとめますね。
- 結露を防ぎ、家の耐久性を維持する
- 断熱性を高める
- 換気効率を良くする
- 湿度を維持する
- 防音性を高める
- 住宅会社の技術力を客観的に評価できる
気密は家全体の性能の基礎になるような項目です。
せっかく高いお金をかけて家を建てたのに部屋が寒かったり、年とともに耐震性能が低下することがないように、気密にもこだわった家づくりをしましょう。
また、住宅ローンで迷っている人にはこちらの記事もオススメですので、ぜひご覧ください!
コメント